メディアの規制

 一応、自由が保障されている(筈の)日本から見れば、確かに中国は不自由な面が無いわけではありません。

 例えば、中国では機械さえあれば日本のBSを受信することが可能です。かつてはWOWWOWも見られたのですが、噂では北京の長冨宮飯店にWOWWOWの社長が宿泊した際、自分の部屋のテレビに映っているのに驚くと共に激怒し、中国側に猛烈に抗議して受信できないようにさせたとか。
 三つ星以上のホテルなら、NHKを見ることができます。これもかつてはBS1と2を普通に見られたので大晦日は紅白が楽しめたのですが、数年前からNHKワールドのみ受信可となりました。著作権にうるさいNHKの方針のようです。このNHKワールドというのが、同じ番組を繰り返し流してばかりの上に紅白を見られないというつまらなさ。まぁ、ここまでは日本側の都合という規制ですが。

 私が暮らしていた93年、突然街の中心部からケーブルTVの設置と放送が始まりました。日本のトレンディドラマなども放送されて(ただし、どんな日本人の俳優でも全員中国語で会話していました。)、街の中心部に住む隊員たちは大喜び。私は郊外の山の麓のキャンパスにケーブルが届く日を、今か今かと待っていました。ところが・・・
 突如、街の中心部のケーブル設備撤去が始まったのです。わざわざケーブル設置料金を支払った隊員の怒りは頂点に。わずか数ヶ月のケーブル生活。

 さて何故ケーブルTVは突如出現し、突如消え去ったのか。答えは幻の2000年北京オリンピック。(次回の2008年ではありませんよ。)オリンピックへの盛り上げのために設置されたケーブルTVだったのですが、シドニーに開催地を奪われた途端に政府から「見ちゃ駄目。」のお達しが出されたというわけです。

 やっぱりメディアは政府に利用されているのだなぁ、と感じさせられた思い出です。