春節ですね。

 中国人にとって1年で最大のイベントですね。かつて桂林に住んでいたときに、たまたま春節の日に旅行から桂林に帰り着いたことがありました。我が家に帰っても食材はないし、街で夕食をと考えていたのですが、10年ちょっと前の桂林の街はほとんど閉店状態。
 いつも通っていた馴染みの店に「ごめん、ご飯食べさせて!」と従業員用のまかないを分けてもらって一息ついたのを覚えています。
 この店の名は「陽橋茶荘」。とはいっても、既にありません。元首相の宮沢喜一氏と「ゲイジュツは爆発だ!」の岡本太郎氏を足して2で割った風貌のオーナーの下、田舎から出てきた娘さんたちが多く働いていました。料理を作るのもこうした娘さんたちで、昨日と今日で同じメニューの味が激しく違うこともしばしば。決しておいしい店ではなかったのですが、何となく居心地が良く、よく行っていました。ところが、オーナーが若い愛人を作った頃から徐々に経営がおかしくなっていったようで、ついには人手に渡り、今ではその建物もありません。
 桂林が近代化する中で、失われたものも数多くあります。中山路で当たり前のように湯気を上げていた砂鍋飯の店も、ほとんど見なくなりました。綺麗な店が増える一方で、味のある店が消えていっています。
 もっともっと、あの当時の街の写真を記録しておけばと、悔やむこの頃です。