相互理解の努力

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            20日、北京より北京日本学研究センターより、

           徐一平教授、笠原清志教授、曹大峯教授をお迎えして、

           日本語学科の一年生から三年生の学生に講義をして

           いただきました。

            これは、三菱商事の資金援助により実現したものです。


            最後に登壇された徐一平教授が、日本語を学ぶ学生たちを

           励ますという意味で引用された、1979年の大平正芳首相の

           訪中時の言葉がとても印象深いものとなりました。





            国と国との関係において最も大切なのは、国民の

           心と心の間に結ばれた強固な信頼であります。この

           信頼を裏打ちするものは、何よりも相互の国民の間

           の理解でなければなりません。

            しかしながら、相手を知る努力は、決して容易な

           業ではないのであります。日中両国は一衣帯水にして

           二千年の歴史的、文化的つながりがあります

           が、このことのみをもって、両国民が十分な努力な

           くして理解し会えると安易に考えることはきわめて

           危険なことではないかと思います。


            ものの考え方、人間の生き方、物事に対する対

           処の仕方に日本人と中国人の間には明らかに大

           きな違いがあるように見受けられます。

            我々は、このことをしっかり認識しておかなけれ

           ばなりません。体制も違い流儀も異なる日中両国

           の間においては、尚更このような自覚的努力が厳

           しく求められるのであります。このことを忘れ、一

           時的なムードや情緒的な親近感、更には、経済的

           の利害、打算のみの上に日中関係の諸局面を築

           き上げようとするならば、それは所詮砂上の楼閣

           に似たはかなく、脆弱なものに終わるのでありまし

           ょう。

            国民の間の相互理解の増進を図る一つの有

           力な手段が、言語であることは、いまさら申すま

           でもありません。

            中国における日本語の学習が中国の人々の

           日本の社会及び文化自体に対する幅広い関心

           の高まりにつながることを強く期待するものであ

           ります。

            以上のような相互理解の努力を通じて、世界

           の平和とアジアの安定の創造に寄与する日中両

           国の関係をより深くより広く推し進めていくことこ

           そ、今日、両国民に課せられた最も大きな課題で

           あると信ずるものであります。



            34年前の言葉が、現在の日中関係に必要なものを

           指し示しているように思えるのは、私の気のせいでしょうか。


            昨年からの反日運動にもかかわらず、こうした活動に資金を

           提供して下さる三菱商事の姿勢にも頭が下がります。

            中国に滞在する日本人として何ができるのか、

           あらためて考えようと思います。